真菌の歴史と特徴

新型コロナウイルスの世界規模の感染の陰に隠れていましたが、真菌感染症が密かに話題になっているのをご存じでしょうか?

アメリカなどではカンジダ・アウリスという真菌感染症が広がっていました。体内の様々な血管で増殖するようです。免疫が低下した方を中心に感染し死亡率は20%~50%と言われています。抗真菌薬に耐性を持つ株が増えたため、近年WHOでは真菌優先病原体リストに挙がりました。

今回の記事は真菌の歴史や特徴などについて記載します。

1. 真菌の歴史

真菌(カビやキノコを含む真核生物群)は、地球上で最も古い生物の一つであり、その歴史は約14億年前に遡ります。初期の真菌はおそらく海中に生息しており、植物と共生関係を築きながら進化してきました。その後、植物と違う進化を辿り動物と近い進化を遂げております。進化の過程は人に匹敵するようです。真核細胞であり、カンジダ菌の細胞は人の細胞と比較しても大きな差はないようです。

私たち人類(ホモサピエンス)の歴史は40万年程度ですので、14億年はすごいですね。

2. 真菌の繁殖方法

真菌は有性生殖と無性生殖の2つに分類されます。

有性生殖:異なる遺伝子を持つ個体同士が結合し新しい個体を形成する。
無性生殖:分裂や無性胞子を形成し親個体と同一遺伝子の新個体が形成される。

3. 真菌の種類

真菌は非常に多様な生物群であり、以下のようにいくつかの主要なグループに分類されます:

1. 子嚢菌門 (Ascomycota) このグループには、イースト菌やカビの多くが含まれます。子嚢と呼ばれる特殊な細胞内に胞子を形成するのが特徴です。例えば、ペニシリウム属(青カビ)やアスペルギルス属(コウジカビ)が代表的です。

2. 担子菌門 (Basidiomycota) キノコやサビ病菌などが属するグループです。胞子は担子器と呼ばれる構造から放出されます。食用キノコやシロタマゴタケなどがこの分類に含まれます。

3. 接合菌門 (Zygomycota) このグループは、接合胞子と呼ばれる特殊な胞子を形成することで知られています。一般的な例としては、パンなどに生えるクモノスカビ(Rhizopus属)があります。

4. ツボカビ門 (Chytridiomycota) 主に水中や湿った環境で見られる真菌です。ツボカビ菌症を引き起こすBatrachochytrium dendrobatidisが有名です。

5. グロムエロ菌門 (Glomeromycota) このグループは、植物の根に共生し、植物に水や栄養素を供給する菌根菌が含まれます。例えば、アーバスキュラー菌根菌(AM菌)が知られています。

これらの門で大別されますが、その種はおおよそ12万種いると分かっています。

4. 真菌の変異

真菌は環境に適応するように変異するとされています。特に亜熱帯や熱帯などの高温下で変異が多いと言われています。カンジダ・アウリスは2009年に日本で発表されましたが、その後、2019年に世界の3大陸で同時に感染報告が挙がりました。温暖化による気温上昇が原因と専門家は考えているようです。気候変動で気温が変化することで活発になる真菌が存在することは自然なことと思います。

問題は抗真菌薬に耐性を持つ株が増えているということです。農薬に含まれるアゾール薬が抗真菌薬耐性に繋がった説があります。

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