糖化ヘモグロビン(HbA1c)の上昇は糖尿病だけではない。

糖化ヘモグロビンとは

β鎖のN末端にグルコースが結合したヘモグロビンを糖化ヘモグロビン(HbA1c)と呼びます。

成人の血中ヘモグロビン組成は、HbA0が約90%、HbA1が約7%、HbA2が約2%、HbFが約0.5%となっております。HbA1cはHbA1に含まれており、全体のヘモグロビン量の約4%と言われています。

糖尿病の方

血糖値が高いと糖化ヘモグロビンは高くなるため正の相関があります。食後にHbA1cがわずかに上昇しますが、HbA1cは過去1~2か月の血糖値の状態を反映していると考えております。

HbA1cの割合が6%を超えると糖尿病予備軍、6.5%を超えると糖尿病の可能性が高いとされています。
HbA1cは血糖値と併せて糖尿病診断の重要な指標として用いられます。

糖病病以外にHbA1cに変化を与える因子

貧血

ヘモグロビン濃度が低下した状態を貧血と言います。赤血球数の減少も相関があります。
貧血の状態では、少なくなったヘモグロビンの寿命が長くなります。ヘモグロビンが長く血管の中に滞在するためグルコースと結びつきやすくなります。

ただし軽度貧血の場合はHbA1cが低下するという報告もあります。軽度貧血は造血作用が亢進しヘモグロビンの寿命が短くなるため、糖化が生じにくくなるという報告もあります。

腎不全

腎臓で生成されるエリスロポエチンが不足することで赤血球の生産が不足します。(腎性貧血)
上記の貧血と同様にヘモグロビンが少ない状態では寿命が長くなるためHbA1cが高くなります。

慢性腎不全では尿素が高い状態になり、タンパク質を変性させる。(カルバミル化)この変化が生じるとHbA1cは低くなると報告があります。

肝硬変

肝臓の循環が低下すると血液が脾臓に留まりやすくなり赤血球が壊されやすくなります。(溶血性貧血)そのためヘモグロビンの寿命が短くなりHbA1cは低くなりやすいです。

貧血などによりHbA1cの数値が信頼できない場合

グリコアルブミン(アルブミンというタンパクにグルコースが結合したもの)を指標に加えます。
ヘモグロビンより反応は早く起こります。過去1~2週間の血糖値を反映していると判断します。

しかし、アルブミンの量に依存するためアルブミンの数値が安定している方が対象になります。

まとめ

HbA1cは血糖値に影響をうけますが、貧血などの赤血球の異常によっても変動が生じます。糖尿病と向き合うためには血糖値・HbA1c以外にグリコアルブミン・エリスロポエチン・尿素窒素など関連の可能性がある指標についても測定することが望ましいと考えます。

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