リポ蛋白(リポプロテイン)は、脂質(脂肪)と蛋白質が結合した複合体です。これらは血液中で脂質を運搬する役割を果たし、体内のエネルギー供給や細胞膜の構築に重要な役割を果たします。
リポ蛋白の種類
リポ蛋白はその密度に基づいていくつかの種類に分類されます。主な種類は以下の通りです:
- カイロミクロン:食事から摂取した脂肪を運搬します。小腸の吸収細胞で作られ、内部に中性脂肪を多く含み(85%)大きさは75~1200nmと幅が広い。カイロミクロンの膜は脂質のみでなく複数種類のアポリポタンパク質が含まれている。
- 超低密度リポ蛋白(VLDL):肝臓から脂肪を運搬します。中性脂肪が50%程度含まれる。カイロミクロンと同様に膜に多種のアポリポタンパク質が含まれる。大きさは30~80nm。
- 低密度リポ蛋白(LDL):コレステロールを全身に運搬します。内部にコレステロールを多く含む。(50%)大きさは18~28nm。
- 高密度リポ蛋白(HDL):余分なコレステロールを肝臓に戻します。大きさは5~15nmと小さいです。膜にアポリポタンパク質が複数種類含まれています。
リポ蛋白の役割
- エネルギー供給:脂質は体の主要なエネルギー源の一つです。
- 細胞膜の構築:脂質は細胞膜の主要な構成要素です。
- ホルモンの生成:脂質はステロイドホルモンの前駆体として機能します。
- 血管内の止血:止血の工程の中でトロンビン生成や血小板活性に機能します。
まとめ
リポ蛋白のバランスは健康に大きな影響を与えます。以前は悪玉、善玉というような極端な考え方がありましたが、カイロミクロン・LDL・HDLなどそれぞれのサイズのリポ蛋白は違った作用があり生命を維持しています。現在も研究は続いており分からないことが多く残されております。
最近の研究
心疾患への影響、血栓の影響、ナチュラルキラー細胞による免疫、HDLによるRNA輸送、炎症、酸化ストレスなど多面的な研究が行われています。
血中の遊離脂肪酸
体内の脂肪酸はアルブミンというたんぱく質に運搬されます。
目的の組織に到着するとインスリンによって細胞表面に付着することで細胞内に取り込まれます。この反応はグルコースと共通の制御になっているようです。
インスリン抵抗性による糖尿病患者は血液検査で中性脂肪の数値が上がる可能性があります。
コメント