糖尿病について思うこと

健康

糖尿病とは血糖値が過剰になる病気です。

高齢な方は他の病気と併発していることが多く、糖尿病患者さんと向き合うことが多いです。

食事指導による治療の経験

ある患者さんに食事を指導したことがあります。
食事内容を記録し、野菜中心のメニューに変更し摂取カロリーが低くなりました。
また間食をされていましたが、間食も今回の機会に止められました。
最初の2か月で空腹時血糖が低下傾向になり喜びました。しかし3か月目以降はほぼ横ばいで経過しました。
1年ほど経過しましたが、現在も空腹時血糖とHbA1Cは正常域よりやや高い状態です。

現代の糖尿病治療

現在の糖尿病の方に使用する薬は

・インスリンの補充もしくは分泌促進薬
・筋肉などの器官でインスリンが働きやすくなる薬

が主に使用されます。それでもコントロールが不良な方が多いです。

糖尿病治療が難しい理由

原因を考えると、生活習慣(食生活や運動不足)だけではないように感じます。
今回は血糖値を上昇させるホルモンについて普段の血糖値上昇に関連している可能性について考えます。

血糖値を下げるホルモンはインスリン1つのみに対し、血糖値を上昇させるホルモンは5種類あります。

  1. グルカゴン
  2. 甲状腺ホルモン
  3. 成長ホルモン
  4. アドレナリン
  5. コルチゾール

私たち人間の体は血糖値を上げることで体をコントロールしています。これらの血糖値を上昇させるホルモンはそれぞれ特徴があります。ただし、異常に分泌されれば糖尿病を引き起こす原因に成り得ると考えます。

以下に、それぞれのホルモンの特徴をまとめました。

血糖上昇ホルモン

1.グルカゴン

肝臓で働くとグリコーゲンの分解や糖新生を起こし血糖値が上昇します。
その他の場所でも働きがあり、

  • 脳で食欲を抑制
  • 自律神経で蠕動運動抑制
  • 褐色脂肪細胞で熱産生
  • 血中や腎臓でアンモニアを尿素に変換

など血糖上昇以外に作用があります。主に食後のタイミングでインスリンとともに放出されるとされています。血糖低下に反応して放出されるホルモンではないようです。

2.甲状腺ホルモン

直接血糖値を上げるホルモンではありませんが間接的に血糖値が上がります。

・上昇すると消化吸収効率が上がり糖を多く吸収するため血糖値が上昇するとされています。

・低下すると脂肪代謝が低下し脂質を蓄えやすくなります。
肥大化した脂肪細胞は炎症性サイトカインを分泌し筋肉にインスリンが作用しにくくなる抵抗性があがります。また、脂肪肝ではインスリンシグナルを阻害するため糖の取り込みを阻害し血糖値が上昇します。

つまり、上昇・低下の両方で血糖値が上昇する可能性があります。甲状腺ホルモンは正常値が望ましいと言えます。

3.成長ホルモン

成長ホルモンは脳下垂体から分泌されるホルモンです。
主に深い睡眠中に分泌されるホルモンです。測定は、アルギニン負荷やインスリン負荷、成長ホルモン放出ホルモンの投与など成長ホルモンを分泌する刺激を与えてホルモン量を測定する方法があります。

成長ホルモンは主に肝臓・筋肉・脂肪でインスリン抵抗性が上昇し血糖値が上昇します。

夜間の睡眠は、深い眠りと浅い眠りを繰り返します。深い眠りでは脂質をエネルギーにする比率が高まります。これは脳が休息し神経を栄養する細胞にグリコーゲンが蓄えられるようです。また、成長ホルモンは睡眠中の体の修復・骨や筋の成長・熱産生・免疫に働いていると考えられます。

4.アドレナリン

アドレナリンは副腎髄質から分泌されるホルモンです。ストレス応答ホルモンの一つです。

血糖値だけでなく血圧上昇や呼吸数上昇にも関わります。

心理的ストレスや運動・興奮・低血糖・副腎異常によって分泌が促進されます。低血糖に反応して分泌が促進されるホルモンです。

5.コルチゾール

コルチゾールは副腎皮質から分泌されるホルモンです。アドレナリンと同様にストレス応答ホルモンの一つです。

しかし、分泌のリズムを持っており朝起床後分泌量が多く、夜低下することが知られています。

糖や脂肪などのエネルギー代謝だけでなく免疫・体液循環・電解質調整・気分や睡眠への影響を持つホルモンです。

ストレスに反応するホルモンについて

血糖上昇ホルモンのまとめ

血糖を上昇するホルモンはそれぞれトリガーやリズムで放出され血糖値を上昇させています。それぞれの作用する時間帯や特徴を把握することはとても重要であると考えます。また、その他に出現しやすい症状も把握すると血糖上昇の見方が変わるかもしれません。

食生活の変化

現代の糖質の多い食生活と体が合っていないような気がします。
私たちホモサピエンスは今から30万年前に誕生し、糖質を摂取する割合は現代よりもずっと少なかったです。
糖質を多く含む穀物の農耕文化が始まったのは今から1万年前とされており、それ以前は狩りや漁によって得た動物性のたんぱく質が主体と言われております。
1万年の時間では私たちの体は糖質中心の食生活に適応できていないのかもしれません。

私たちの食生活は正しいのでしょうか?

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